年次報告書

A01班

27年度の実施計画

 本研究では、前述した目的を達成するために、生物系と情報系の研究者が協働して実施にあたる。本年度以降、生物系と情報系の研究者構成を大幅に組み替え、生物系2小班、情報系2小班の態勢で取り組むこととした。生物系では、昨年度までに引き続き、昆虫、魚類から走査型電子顕微鏡(SEM)画像などの生物データを収集する。しかしこれまでの年度とは異なり、データの選択と集中を行う。例えばB01-2班での研究に寄与するために昆虫のモスアイ構造や構造色に重点を置く。また、B01-1班での応用研究に向けた魚類のデータ提供を図る。あわせて各構造に関する機能や、対象生物群の生息環境、系統関係等の生物学的情報をまとめたテキストデータを作成する。これにより、生物に関する特段の知識がなくても、生物規範工学についての「気付き」や指針が得られるシステムづくりを目指す。

情報系担当研究者は、昨年度開始した「バイオミメティクス・データ検索基盤」の試作システムの班内での試験運用結果に基づき、これまでに開発してきたデータベースと検索システムの充実をはかる。領域内他班に対しても画像検索システムを順次公開し、フィードバック情報を集積してシステムの高度化を図るとともに、研究期間終了後の持続的な運用法についても検討する。異分野連携の可能性を実際のシステムで示したテキストデータについては、オントロジー技術を用いて専門分野の壁を超えた検索機能を実現しつつある。C01班とも連携し、社会科学的視点からの検索機能を組み込む。

得られた結果を基にして本年度、普及啓発書の出版、博物館を利用した企画展示などのアウトリーチ活動を通して、各方面への普及と人材育成を図る。さらに研究成果を発信する方法として、学会誌等への論文投稿や、学会、講演会等における成果発表を行う。

27年度の実績報告概要

本研究課題においては、今年度より研究組織の改編を行い、生物系2小班、情報系2小班の計4小班で当たることとした。生物系では、昆虫を担当する野村小班では、98サンプル、2,762枚の画像データを制作した。魚類を担当する篠原小班では、54サンプル、1,417枚の画像を作製し、情報系2小班へ提出した。以上の結果、昆虫のSEM画像は累計約19,000件、魚類は累計約4,600件となる。野村が日本生物物理学会で関連の講演を行ったほか、「生物の科学『遺伝』」誌で解説記事を書いた。また篠原も日本進化学会で関連の発表を行った。
情報系2小班(長谷山小班および溝口小班)では、生物系2小班から提出したデータを取りまとめて、データベースの構築作業を行っている。溝口小班ではオントロジー技術を用いて、専門家のニーズに応じたキーワードを探索,提示するシステムを構築し、さらなる改良を進めている。画像データ検索機能の実装を担当する長谷山小班では、発想支援型検索に基づく「バイオミメティクスデータ検索基盤」の試作システムの整備を進めた。今年度は領域メンバーに試作システムを公開し、演示会を開催して問題点の洗い出しに努めている。
本研究課題では研究成果のアウトリーチ活動として、本年度2つの大きな課題に取り組んだ。一つは一般向けの普及書の出版であり、もう一つは、来年度に実施予定の、国立科学博物館での企画展の準備である。前者については国立科学博物館叢書の第16巻として、「生物の形や能力を利用する学問 バイオミメティクス」(東海大学出版部刊)を2016年3月30日付、刊行した。後者についても領域全体での協力を頂き、来年度4~6月の開催に向けて準備を進めている。

(アーカイブ)

 

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