B01-3班

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B01-3班 過去の年次報告書

24年度の年次報告書

24年度の研究計画

1-a 接着性剛毛と被着表面の関係の調査を行う。
1-b 微小面積、微小接着力測定装置の設計と作製を行う。
1-c 実働基板、実働チップ、テスト用のマクロサイズのテスト基板の設計と製作を行う。
2-a(層状)ハイブリッド皮膜の作製手法の確立。
2-b 表面階層構造による熱輻射制御の可能性について検討を行う。
3-a 電極と微細毛配線の物理的接合。

24年度の実績報告概要

本研究では、生物のセブセルラー・サイズ構造の階層性に起因する動的特性を材料科学・分子科学の視点から解明し、実装技術への応用を目指している。

1)昆虫(ハムシ)の接着性剛毛の形状と生態関係の調査から、ハムシが気泡を利用して水中を歩行できることを世界で初めて発見した。また、気泡に対する剛毛の役割を明らかにし水中接着機構の開発に成功した。

2)毛状構造ならびに接合用の対向基板に用いる可能性のある材料(PDMS,ガラス,銅,チタンなど)について,大気圧雰囲気で親水性 架橋分子層を形成するための表面処理プロセスを開発し,平面基板を用いて初期的な接合実験を行った.その結果に基づき,実際の毛状構造を接合するための装置を設計した。

3)(層状)ハイブリッド皮膜の作製手法の確立を目指し研究を実施した。無機酸化物の原料として、シリコンアルコキシドの他に、ジルコニウムのアルコキシド、構造規定剤として鎖長の異なるカルボン酸を用いて透明な前駆溶液を調製した。当該溶液をガラス基板上にスピンコートし、加熱処理することで透明性に優れた層状ハイブリッド皮膜を作製することに成功した。この層状ブリッド皮膜表面はアルカン(油)に対し、優れた滑落性と温度応答性を示すことが明らかとなった。

4)可逆的接合やセルフアライメント機能を有する新しいエレクトロニクス実装技術の基盤となるDNAハイブリダイゼーションに基づく微細結線達成を実現し得る新規人工核酸の設計と合成に取り組み、本経費で購入したカロリメーターも活用し、基盤上での相補的塩基対形成に基づくセルフアライメントに関する基礎的知見、さらには微細結線を実現し得る電導性官能基を導入した人工核酸モノマーユニットの合成と基礎的物性測定に成功した。また、DNAを鋳型にしたナノワイヤーの形成に向けて、金属ナノ粒子の集合制御、導電性ポリマーの鋳型重合、プラチナのナノ無電解メッキ等の基礎的な研究成果を得た。

25年度の年次報告書

25年度の研究計画

1-a) 微細毛の構造の製作、セルフアライメントのための設計・製作。導電性制御の法の検討を行う。

1-b) 界面を利用したセルフアライメント技術の開発に向けて、親水性・疎水性が制御されたマイクロ・ナノチップの作製、フレキシブルデバイスなどにも使える多様な基板に対応したデバイスの回路設計を行う。

1-c)可逆的接着を可能にする物理的形状を有する微細なインターコネクション基材に対して導電性を安定して付与することを目的とし,導電性材料(一般的な配線金属全般)と基材(樹脂,ポリマー)に汎用性のある架橋分子層を,大気圧雰囲気かつ低温で形成する表面改質技術を完成させる.

1-d) カミキリムシなどの昆虫の脚による接着構造及び振動等の物理刺激に対する姿勢の制御機構を明らかにすることによって、可逆的な接着技術や物理 刺激に耐久性を持つ接着材料の開発を目指す。

1-e) 前年度に引き続き接着性剛毛と非着表面の関係調査を行う。

2-a) H24年度、シリカ、ジルコニア系のハイブリッド層状皮膜を作製することに成功した。H25年度は、無機源/構造規定剤の比や、有機シランの種類(鎖長・官能基)によって、ハイブリッド層状皮膜の構造・特性を制御するとともに、その基本物性(動的濡れ性、膜構造、硬度等)を調査する。また層状化合物の層間に機能性分子(本年度は防さび剤)を安定に導入する技術開発を前出しして行う。機能性分子の導入方法としては、前駆溶液へ混合する方法を試みる。シリカ系は浦田、ジルコニア系は穂積が担当する。

2-b) H25年度は種々のアルコキシドを用いてゾルゲル法によるコーティングを行い、鎖長や官能基の違いが熱伝導性に及ぼす影響を調査する。また、階層構造を構築するための合成方法等を検討する。

3-a) H24に引き続き基盤上に固定化したDNA(A)と同じく基板固定化相補的DNA(B)を用いた結線技術構築に取組と共に、電導性ユニットを導入した人工核酸の設計・合成を検討する。

[連携研究者]

名古屋市工業研究所・八木橋信研究員・計算実験、住友化学(株) 情報電子化学品研究所 主任研究員 竹厚 流 層状化合物物性評価、北海道大学電子科学研究所・准教授 新倉謙一、助教 三友秀之、 (株)LIXIL 住設

・建材カンパニー・井須紀文・熱制御、東北大学多元研 荒木保幸・坂本清志・DNA形成、札幌市立大学・講師 三谷 篤史

25年度の実績報告概要

本研究では、生物のサブセルラーサイズ構造の階層性に起因する動的特性を材料・分子科学の視点から解明し、実装技術への応用を目指している。本年度は要素技術開発(固体間界面、表面、内部構造)を推進した。
(固体間界面):前年度の昆虫の接着性に関する研究の成果を基に、接着機構の設計・製造・測定を行い繰り返し接着が可能な接着構造体の開発に成功した。実装技術への移転を行うため、生体親和性材料を担持する基板として広範に用いられているポリジメ チルシロキサン (以下PDMS)や石英と,金属電極材料のCuならびにTiの大気圧低 温混載接合を実現した.低環境負荷な接合手法として,真空紫外光照射補佐を適 用したvapor-assisted法を用い,プロセス条件を明確化した.
(表面):層状構造を有する透明ハイブリッド皮膜の層間に,防錆剤であるTTAを高濃度で挿入することにより,

1)ダメージを受けた箇所の自己補修/修復,
2)表面機能が低下した場合,最表面層の剥離,除去による表面機能の回復,
3)層間に導入されたトリルトリアゾール分子による長期にわたる防錆機能維持,
という,生物の機能維持メカニズムを人工表面に導入することが可能となり,これまでにない優れた耐食性能を実現することができた。

本成果に関しては,「生物の機能維持メカニズムを模倣した高性能防錆皮膜の開発」というタイトルで,第2回ネイチャー・インダストリー・アワード特別賞(2013.11.20)を穂積 篤が受賞した。浦田千尋が平成25年度の表面技術若手研究者の若手奨励賞を授与した。
(内部構造):外部刺激によりDNA結線の形成と解離を実現する、外部刺激応答性人工核酸の開発にも取り組み、ホウ酸とpH変化を外部刺激とする可逆的なハイブリダイゼーション形成・解離システムの構築に成功した。研究論文は優秀な論文として2件選ばれた。

26年度の年次報告書

26年度の研究計画

1-a) 微細毛の構造の製作、セルフアライメントのための設計・製作。導電性制御の法の検討を行う。

1-b) 界面を利用したセルフアライメント技術の開発に向けて、親水性・疎水性が制御されたマイクロ・ナノチップの作製、フレキシブルデバイスなどにも使える多様な基板に対応したデバイスの回路設計を行う。

1-c)可逆的接着を可能にする物理的形状を有する微細なインターコネクション基材に対して導電性を安定して付与することを目的とし,導電性材料(一般的な配線金属全般)と基材(樹脂,ポリマー)に汎用性のある架橋分子層を,大気圧雰囲気かつ低温で形成する表面改質技術を完成させる.

1-d) カミキリムシなどの昆虫の脚による接着構造及び振動等の物理刺激に対する姿勢の制御機構を明らかにすることによって、可逆的な接着技術や物理 刺激に耐久性を持つ接着材料の開発を目指す。

1-e) 前年度に引き続き接着性剛毛と非着表面の関係調査を行う。

2-a) H24年度、シリカ、ジルコニア系のハイブリッド層状皮膜を作製することに成功した。H25年度は、無機源/構造規定剤の比や、有機シランの種類(鎖長・官能基)によって、ハイブリッド層状皮膜の構造・特性を制御するとともに、その基本物性(動的濡れ性、膜構造、硬度等)を調査する。また層状化合物の層間に機能性分子(本年度は防さび剤)を安定に導入する技術開発を前出しして行う。機能性分子の導入方法としては、前駆溶液へ混合する方法を試みる。シリカ系は浦田、ジルコニア系は穂積が担当する。

2-b) H25年度は種々のアルコキシドを用いてゾルゲル法によるコーティングを行い、鎖長や官能基の違いが熱伝導性に及ぼす影響を調査する。また、階層構造を構築するための合成方法等を検討する。

3-a) H24に引き続き基盤上に固定化したDNA(A)と同じく基板固定化相補的DNA(B)を用いた結線技術構築に取組と共に、電導性ユニットを導入した人工核酸の設計・合成を検討する。

26年度の実績報告概要

本班は、生物の接着機構、自己増幅・自己複製修復機能、動的な組織体形成、放熱機能を技術に取り入れるため、生物学的な分析と要素技術開発を行って来た。本年度はこれまでに得た生物機能のしくみに関する研究結果と前年度までに行った生物規範による要素技術開発を集約し、エレクトロニクス実装への技術移転を試みるため次の研究を実施した。

1)様々な表面を歩ける昆虫の足裏の接着性毛状構造を模倣したセルフアライメントチップ実装への応用:毛状構造は、フォトレジストを利用したsu8の微細加工により太さ5μm長さ40μmの高いアスペクト比の構造を作成した。これにより昆虫の毛状構造と類似したサイズを製作することに成功した。セルフアライメント用の基板はぬれ性の制御をVUV照射で行い照射条件の最適化を行った。PDMS皮膜及び自己治癒型の皮膜のぬれ性の制御に成功した。

2)自己増幅・自己複製修復機能により表面機能を持続させる植物の葉のプラントワックスのしくみを模倣した表面皮膜を開発し実装技術へ応用:これまでに開発した防錆剤であるトリルトリアゾール(TTA)を含有するTTA含有層状ハイブリッド皮膜の防錆剤添加量と基材の腐食抑制作用の相関関係を調査し最適化を図った。また,層状構造の有無が防錆性能に及ぼす効果を調べた。次に,物理的な刺激(クラックや剥離等)により,防錆剤が分泌され,防錆効果が持続する機能(自己修復性)を持つ新しい材料開発に成功した。

3)自己複製・自己増殖機能による微細結線開発を目指し導電性を有する人工核酸系の設計と合成に成功し、その礎となる成果と一般性を有する設計方針の構築に成功した。

4)表面微細形状制御による伝熱制御:表面周期構造を用いることで伝熱制御が可能であることが明らかになった。

5)本研究で発見した昆虫の水中接着機構を技術化する目的で鋳型によりプロトタイプを製作し高い接着強度を得ることに成功した。

27年度の年次報告書

27年度の研究計画

①  昆虫の足の可逆的接着性、セルフアライメント技術: 昆虫の脚先構造や魚類の吸着デバイスについて、系統的なアナロジーの検証(A班と連携)と、形成プロセスの解明(B01-2班と連携)、ナノスーツ法による電子顕微鏡観察(B01-2班と連携)を行い、微細構造と接着性との関係を解明して(B01-4班と連携)、可逆的接着性を持つ「昆虫の脚型配線」を最適化する(細田、重藤)。また、濡れ性の違いや泡を利用した「セルフアライメント技術」を開発する(穂積、浦田、重藤、細田、松尾)。最終的な導電化には導電性粒子を利用し、外部刺激により配線の可逆接着を可能にする「結線技術」を開発する。

②  植物の自己修復や分泌の仕組み、長寿命化: 実装材料にあった防錆剤を用いてハイブリッド皮膜組成の最適化を行う。開発中の昆虫の脚型配線のセルフアライメント用にパターニング技術(局所的な紫外線露光)を利用し、親水/疎水性領域の構築を実施する。最適化したハイブリッド皮膜を実際の実装基板に成膜し、防汚特性、曲げ特性、劣化・防腐食性等を総合的に評価し、層状ハイブリッド皮膜が長期間実環境下において絶縁性皮膜として機能することを実証する。さらに、B01−1班の自己組織化による微細構造化技術を利用して、ウツボカズラ等を模倣した分泌型防汚表面の開発を実施する。

③  生物の放熱性等、放熱特性の向上:材料の放熱特性の向上を目指すため、1)極限環境でも生息している珪藻の熱特性の調査、2)として放熱性を高めるメタサーフェス構造の最適化を行う。また、メタサーフェスの作製において自己組織化の可能性を探索する。

④ エレクトロニクス実装プロセスを確立:ハムシの足構造を模倣したセルフアライメント機能を有する電極の大気圧低温雰囲気での接合性検証と、実働デバイスの上部配線に用いられる構造に対して同電極を適用し、応用可能性を実証する。有機基板表面の親疎水性を短時間かつ低毒性なプロセス条件の最適化を行う。現行では酸素含有雰囲気における真空紫外光照射を用いているが、他の反応が酢雰囲気の利用可能性も、X線光電子分光法などによる表面分析の結果から検討する。また、応用可能性検討試料の設計と試作を行う。

27年度の実績報告概要

生物機能のしくみに関する研究結果と生物規範による要素技術開発を集約し、エレクトロニクス実装への技術移転を試みるため次の研究を実施した。

【泡を保持するバイオミメティック表面】シリコンチップ上に泡保持表面(毛状構造)を加工し水中セルフアライメントに成功した。基板側は水蒸気又は酸素補助を用いた真空紫外光照射により親疎水性制御検討をポリジメチルシロキサンを対象に行い、最適条件を見出した。

【泡保持機構の導電性の付与】泡を保持できる突起構造の鋳型を作製し、柔軟な材料であるエラストマーへ構造転写し、エラストマー突起構造への金属メッキによる導電性付与に成功した。鋳型を熱インプリント用モールドとして用いることにより、導電性材料自体に突起構造形成することに成功した。

【放熱制御】極限環境にも生息する珪藻の有機成分の除去方法(熱処理、酸処理)の選定により珪藻殻の細孔特性と水蒸気吸脱着特性が変化することを明らかにした。珪藻殻に水蒸気を保持させることで放熱特性の向上に成功し、水蒸気吸着量と放熱特性に関係があることを見出しつつある(連携/公募班前田)。材料表面の周期的凹凸構造のサイズが、熱的性質に影響を及ぼすことを明らかにした。

【ぬれ制御】生物の機能維持メカニズム、多機能性を模倣した機能性材料の開発を実施した。優れた滑水性、ダメージを受けた際の自己治癒/修復、表面機能の回復、長期にわたる耐食性を有する層状ハイブリッド皮膜(高性能防錆皮膜)を開発した。この層状ハイブリッド皮膜を被覆した銅、アルミニウム基板は塩水噴霧試験2000時間以上経過しても腐食は確認されず、優れた長期耐食性を示すことが明らかとなった。また、ナメクジの分泌機能を模倣した自己分泌型機能材料を開発した。導入する液体を任意選択することで、防汚性のみならず、着氷防止、付着防止、超撥水性、撥液性等の表面機能を付与できることが明らかとなった。

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