B01-5班

ホーム > B01-5班 > B01-5班 過去の年次報告書

B01-5班 過去の年次報告書

24年度の年次報告書

24年度の実施計画

課題1:生物マルチスケール・メカニクス・システムの理論体系の研究

生物マルチスケール・メカニクス・システムの新しい定式化を行い、生物規範メカニクス・システムの新しい理論体系を検討する。

課題2:生物規範細胞メカニクス・システムの研究

細胞の力覚特性を系統的に操作する新たな生物規範材料を構築し、細胞力覚メカニズムの解明と高機能メカノバイオミメティック材料の創製を目的とし、1)細胞運動を三次元的に制御するメカニカルパターニング材料の開発、2)メカニカルパターニング材料を用いた細胞の力覚メカニズムの解明、3)三次元細胞運動制御に基づく幹細胞操作技術の開発を実施する。

課題3:生物規範飛行メカニクス・システムの研究

1)昆虫飛行の構造・運動・流体・制御の統合的外部力学モデルの開発を目指して、スズメ蛾の翼構造・材料力学モデルと流体力学モデルと、動力学•制御モデルと流体力学モデルとのカップリングを完成させるとともにそれらの妥当性を検証する。さらに小型低速風洞試験等と比較し、生物飛行システム統合力学シミュレータの有効性を確立する。

2)昆虫飛行の神経・筋・外骨格システムの統合的内部神経-筋-骨格系モデルの構築を行うために、スズメ蛾飛翔筋活動による羽ばたき運動の制御と外乱時の神経系・飛翔筋による羽ばたき運動の制御を対象として内部力学モデルを構築する。さらに昆虫羽ばたき飛行の空力解析結果を、視覚・風・加速度等の刺激により生じた昆虫の翼運動の変化などの制御応答に組み込んだシステムを構築する。

24年度の実績報告概要

1)生物マルチスケール・メカニクス・システムの理論体系の研究:生物マルチスケール・メカニクス・システムの定式化と生物遊泳と飛行システムの理論体系を検討した。
2)生物規範細胞メカニクス・システムの研究:A.細胞の力覚特性を系統的に操作する新たな生物規範材料を構築して細胞運動を三次元的に制御する新規メカニカルパターニング技術を開発した。光架橋性ゼラチンの電界紡糸ナノファイバーマトリックスとし、その架橋度を制御した上で個々のファイバーをゲルさせた弾性率可変マイクロゲルファイバーマトリックスを構築した。細胞が閾値以上の硬さを持つゲルマトリックスにのみ三次元的に侵入し得る現象を見出した。B.基質の硬さ依存的に観察されるCa2+スパークおよびストレス線維の基質牽引力を同時観察し、細胞による基質の牽引に引き続き、細胞内Ca2+上昇が起きる事象を確認した。これは、細胞の基質硬度感知においてストレス線維の収縮とMSチャネルを使ったアクティブタッチが行われている可能性を示唆した。
3)生物規範飛行メカニクス・システムの研究:A.昆虫飛行の統合的外部力学モデルの開発を目指してスズメガの翼構造・材料力学モデルと流体力学モデルと、動力学制御モデルと流体力学モデルとの連成解析システムを構築した。昆虫ホバリング飛行の外乱時の安定性及び羽ばたき飛行制御の解析に適用し昆虫翼や胴体の弾性変形の効果を確認した。本統合力学シミュレータの有効性を検証するために生物飛行専用の低速風洞の設計を完了した。B.昆虫飛行の神経・筋・外骨格システムの統合的内部神経-筋-骨格系モデルを構築するために、スズメガの飛行制御機構の解析のための神経回路レベルの解析装置とシステムレベルでの解析のための力学計測装置を構築した.システムレベルの解析では,視覚情報による高度制御について,周波数領域におけるシステム同定を行い,伝達関数を推定した.

25年度の年次報告書

25年度の実施計画

課題1:生物マルチスケール・メカニクス・システムの理論体系の研究

生物マルチスケール・メカニクス・システムの新しい定式化を行い、生物規範メカニクス・システムの新しい理論体系を検討する。

課題2:生物規範細胞メカニクス・システムの研究

細胞の力覚特性を系統的に操作する新たな生物規範材料を構築し、細胞力覚メカニズムの解明と高機能メカノバイオミメティック材料の創製を目的とし、1)細胞運動を三次元的に制御するメカニカルパターニング材料の開発、2)メカニカルパターニング材料を用いた細胞の力覚メカニズムの解明、3)三次元細胞運動制御に基づく幹細胞操作技術の開発を実施する。

課題3:生物規範飛行メカニクス・システムの研究

1)昆虫飛行の構造・運動・流体・制御の統合的外部力学モデルの開発を目指して、スズメ蛾の翼構造・材料力学モデルと流体力学モデルと、動力学•制御モデルと流体力学モデルとのカップリングを完成させるとともにそれらの妥当性を検証する。さらに小型低速風洞試験等と比較し、生物飛行システム統合力学シミュレータの有効性を確立する。

2)昆虫飛行の神経・筋・外骨格システムの統合的内部神経-筋-骨格系モデルの構築を行うために、スズメ蛾飛翔筋活動による羽ばたき運動の制御と外乱時の神経系・飛翔筋による羽ばたき運動の制御を対象として内部力学モデルを構築する。さらに昆虫羽ばたき飛行の空力解析結果を、視覚・風・加速度等の刺激により生じた昆虫の翼運動の変化などの制御応答に組み込んだシステムを構築する。

25年度の実績報告概要

1)生物マルチスケール・メカニクス・システムの研究:波動理論に基づいた統一的な定式化を行い、生物遊泳・飛行への応用を図った。

2)生物規範細胞メカニクス・システムの研究:A. 光リソグラフィーハイドロゲル弾性パターニング法と逐次電界紡糸を組み合わせた、ゲルナノファイバーマトリックスのメカニカルパターニング技術を開発・確立し、三次元細胞運動を系統的に解析し、三次元のメカノタクシス現象を発見した。弾性材料上での幹細胞の運動制御や分化制御へ適用し、ラミニン固定化弾性率可変ハイドロゲルの上でのiPS細胞の増殖挙動を評価した。B.培養細胞の基質硬さに依存するCa2+スパークおよびストレス線維の基質牽引力を同時観察し、細胞による基質の牽引に引き続き、細胞内Ca2+上昇が起きる事象の観察より、細胞の基質硬度感知においてストレス線維の収縮とMSチャネルを使った基質力学情報の細胞内シグナルへの変換が行われている可能性が示唆された。
3)生物規範飛行メカニクス・システムの研究:A. 生物飛行マルチ力学解析システムと翼形状や運動の最適化モデルを構築したとともに、ガ静止飛行柔軟翼の安定性や飛行制御の効果、ハチドリ静止飛行の高速度カメラ撮影による翼運動・変形の解析、力学解析による翼の曲げやねじれ、キャンバーや面積変化と空気力発生の相関、ハエ羽ばたき翼の最適形状等を解明した。超低速風洞を製作しDPIV流体計測システムを確立した。生物表面構造の流体抵抗低減効果を実験と流体解析の両方から検討した。B. 昆虫飛行の神経・筋・外骨格システムの統合的内部神経-筋-骨格系モデルの構築のために、ガの飛行制御機構の解析のための神経回路レベルの解析装置とシステムレベルでの解析のための力学計測装置を構築した.システムレベルの解析では,視覚情報による高度制御について,周波数領域におけるシステム同定を行い,伝達関数を推定した。

26年度の年次報告書

26年度の実施計画

テーマ1:生物マルチスケール・メカニクス・システムの理論体系の研究

前年度に行った波動のコンセプトに基づいた生物運動の新しい定式化を、生物 運動における流動波の現象に適用し、従来の生物流体力学理論と比較しながら生 物規範メカニクス•システムの新しい理論体系を図る。

テーマ2:生物規範細胞メカニクス・システムの研究

1)これまでに確立している二次元および三次元のメカニカルパターニング材料 を用いた細胞のメカニクス・ダイナミクスの系統的制御と、これに基づく細胞の 力覚メカニズムの探索に取り組む。今年度は、独自に開発したゲルナノファイバ ーマトリックスのメカニカルパターニング材料を用いたがん細胞の悪性度診断技 術の開発と、iPS細胞の高速増殖培養力学場の制御と利用条件を確立し、iPS細胞 のメカノバイオロジー理解を拡充する。

2)前年度までに得られた細胞内骨格における張力と細胞内Ca2+濃度の変化の関 係を詳細に解析し、その関連性により細胞内における基質硬度の感知メカニズム の特性の理解を目指す。また、そのメカニズムを利用し細胞を操作可能な生物規 範材料の開発に着手する。

テーマ3:生物規範飛行メカニクス・システムの研究

1)前年度に構築した昆虫飛行の構造・運動・流体・制御の統合的外部力学モデ ルについて、小型低速風洞試験とDPIV流体計測等により、その妥当性を総合的に 検証し、生物飛行システム統合力学シミュレータの有効性を確立するとともに、 柔軟翼を有する飛翔生物羽ばたき飛行の空気力学性能や飛行安定性の解析を行う。

2)他計画班と連携し、イルカ胴体やフクロウ翼といった生物表面マイクロ構造 がマイクル流体力学ないし流体抵抗の低減に及ぼす影響を実験と解析の両方から 評価する。 3)昆虫の羽ばたき運動中の胸部外骨格の変形を飛翔筋の動態を詳細に解析し, 筋骨格モデルを精緻化するとともに,翅損傷時の補償における構造の果たす役割 について筋骨格モデルを利用した解析を行う.

研究連携者:東京大学 神崎亮平、千歳科学技術大学 室崎喬之、JAXA 青野光
公募研究者:信州大学 小林俊一、千葉大学 田中博人

26年度の実績報告概要

1) 生物マルチスケール・メカニクス・システム: A. 昆虫や取りの羽ばたき翼の変形(動き)のロバストネスを明らかにし、 B.生物 流動波という概念を取り入れた生体メカニクスシステムの理論体系化を図った。

2)生物規範細胞ミクロメカニクス・システム: 細胞運動の制御と力覚検知メカニズムのメカノバイオミメティックス(木戸秋・小林) において、電界紡糸と光リソグラフィーハイドロゲル弾性パターニングを組み合わせた新たな三次元パターニングゲルの作製技術を開 発し、細胞の機械的接触走性―メカノタクシス―を二次元的および三次元的に制御するメカニカルパターニング材料の開発に成功した 。

3)生物規範飛行マクロメカニクス・システム: 飛翔生物柔軟翼のバイオメカニクスとバイオミメティクス:統合力学的解明(劉・安藤 ・田中)において、昆虫羽ばたき飛行の飛行力学・流体力学・材料力学・飛行制御・運動最適化を統合した生物飛行統合力学シミュレ ータと、生物飛行と生物規範型飛行ロボット・流体機械の流体力学性能を測定、検証可能な世界トップレベルの回流型超低速風洞とDP IV流体計測システムの開発に成功した。

4)バイオミメティクス・デザイン: A. iPS細胞のフリーダーフリー分散培養(木戸秋)に成功し、B. 高性能流体機械のバイオミメテ ィクス・デザイン(劉・田中)において、高効率・高ロバスト性を有する生物規範型水平軸風車の開発に成功した。

27年度の年次報告書

27年度の実施計画

(1)細胞ミクロメカニクス: 細胞の周囲環境の硬さ軟らかさを検知してその「動き」を制御する原理解明とその 細胞培養操作の独自技術を開発する。これまでに独自の弾性率パターニングの技術を用いて2次元ならびに3次 元細胞培養材料を開発し、間葉系幹細胞やiPS細胞などの幹細胞の運動の制御とともに、その分化や増殖の制御 に成功している。今後は、そのメカニクス原理の解明と実用材料への展開を加速する(木戸秋、小林)。

(2)生物 飛行マクロメカニクス: これまでに開発した生物羽ばたき飛行のマクロスケールのメカニクスとしての空気力学 ・材料力学・飛行力学・神経制御を統合する統合力学シミュレータを基に、生物羽ばたき飛行制御機序の解明、 鳥類の内部形態・羽毛微細構造の進化生物学的及び空気力学的研究、B01-1班との連携による生物の自己組織化 微細構造表面に誘導するマイクロスケールのメカニクスに由来する摩擦抵抗低減の表面サブセルラー・サイズ効 果の解明、B01-2班との連携による昆虫翼のマクロ形態とマイクロ表面構造におけるマルチスケール・メカニク ス効果の解明、ハチドリ規範型人工柔軟翼の創製を実施する(劉、安藤、山崎)。さらに生物翼のサブセルラー・ サイズ表面構造の力学的機能情報をA01班に提供し「バイオミメティクス・データベース」での生物規範メカニ クス・システム機能要素の構築を行うとともに、細胞メカノバイオマテリアルの創製や昆虫規範型ロボットや流 体機械の開発などバイオミメティクス・デザイン指針の創出を目指す。

(3)生物マルチスケールメカニクス: ミ クロスケールの細胞からマクロスケールの生物個体にわたる幅広いスケールに共通する生物の「動き」における 流動性と波動性に関する新しいスケーリング法則を適用することにより普遍的生物運動原理の確立に取り組み、 「生物マルチスケール・メカニクス」という新学理の創出を目指すとともに、生物運動マルチスケール現象に対 してサブセルラー・サイズ構造がもたらす力学的効果を明らかにしていく(劉、木戸秋)。

27年度の実績報告概要

(1)細胞ミクロメカニクスの研究: A.細胞の三次元運動を系統的に制御可能な弾性率可変のマイクロゲルファイバーマトリックスの開発を行った.特にがん細胞の悪性度に依存した三次元細胞運動の差異をよく反映するマトリックス力学場の設計条件について見出し,がん細胞の診断材料構築への基盤知見を得ている.B.間葉系幹細胞の基質硬度感知において機械刺激受容チャネルTRPV4とTRPM7が大きな役割を果たしていることを見出した.

(2)生物飛行マクロメカニクスの研究: A.昆虫離陸時の地面効果,乱流中の昆虫羽ばたき飛行の空力性能と飛行制御原理,昆虫羽ばたきの受動的運動の発生原理を明らかにした.鋸歯構造をもつフクロウ翼の空力性能を風洞試験とマルチスケール流体解析により定量化評価を行い,その整流効果を確認した.ハチドリ規範型人工柔軟翼をMEMS技術により創製し,羽ばたきロボットへの適合性を確認した.また魚類遊泳運動にも生物羽ばたき翼に似たような前縁渦による推力増進原理を発見した.B.スズメガ羽ばたき運動中の胸部の変形と,飛翔筋による変形の制御について,中胸背板の変形が左右の筋収縮によって柔軟に制御可能であるとともに,翔筋機能の多様性を示した.C.フクロウ科鳥類について、標本閲覧や生態情報収集により,静かな飛翔が求められる種ほど,翼前縁鋸歯の切れ込みが深いことが分かった.またハサミアジサシ類のくちばしの微細構造の観察,A01班が集めたX線CTデータを用いた鳥類のくちばしのバイオメカニクスの研究も行った.

(3)生物マルチスケールメカニクスの研究: 魚類波打ち遊泳運動,生物羽ばたき飛行及びヒト循環器系血液流動における流動性と波動性に対して,代表サイズ、レイノルズ数及び新たに導入された波動数を適用し,波動エネルギーと力学効率を評価する理論体系を提案した

ページの先頭へ戻る