C01班

ホーム > C01班 > C01班 過去の年次報告書

C01班 過去の年次報告書

24年度の年次報告書

24年度の年度計画

1)人文科学的アプローチ
・ライフスタイル・デザイン手法の開発
将来、淘汰される危険度の高い商材やライフスタイルを把握した上で、バックキャスティング手法により、2030 年の環境制約や将来の社会状況、更には人間の本質的な欲を考慮して全体最適化されたライフスタイル・デザイン手法を開発し、具体的なライフスタイルをデザインする。
・ライフスタイルの評価
デザインした新しいライフスタイルの社会受容性を調査し、低環境負荷なライフスタイルと、そのライフスタイルを実現可能にする低環境負荷なテクノロジー・ニーズ(製品、サービス、制度)を提案し、これをデータベース化するための構造を明らかにする。
・ニーズ・シーズマッチング
A01,B01班から提案される予定のシーズとライフスタイル研究で得られたニーズのマッチングを図る為、具体例について、シミュレーションをおこなう。

2)社会科学的アプローチ
・テクノロジーガバナンス構築
現在ナノテクノロジー領域で行われているナノ材料の管理策にかかわる研究開発やOECDでの管理策策定に関する活動等をサーベイし、特に、OECDのスポンサーシッププログラムにおけるナノ材料の管理策策定に向けた活動の現状を正しく把握し、その環境や人体に対する影響の明確でない材料の管理策策定をどう進めるべきかを明らかにする。またOECDの活動におけるナノ材料のリスク評価手法やリスク管理策が、国際標準化されるプロセスを把握し、国際的な合意形成プロセスとその仕組みを明らかにし、生物規範工学へ展開する総合指標として整理する。また、これらの成果をもとに、バイオミメティクスの国際標準化ISO TC266についての提言を行う。

3)自然科学的アプローチ  
・サブセルラー・サイズ構造多様性のモデル化
自然界における様々な形状のナノ・マイクロ構造をモデル化し、さらにBio-TRIZ法(生物の技術体系を工学特許に移転するナノ・マイクロ材料創発法)を導入することで、より高次の機能デザインが可能かどうかの検証を行う。
・TRIZデータベースの構築開始
A01,B01班の成果についての情報収集を行い、高次機能性材料設計に必要なTRIZデータベースの検討を開始する。特に材料設計のモデル化に必要な要素とニーズとの整合を考えたデータベースの構造をいくつかのシミュレーションを基盤に明らかにする。

24年度の実績報告概要

生物規範工学が社会に普及・浸透していくためには、

1)将来の厳しい環境制約下でも心豊かに暮らせるライフスタイルのデザイン手法の開発、

2)必要なサブセルラー・サイズ構造の技術を検索可能なデータベースの開発、

3)生物規範工学のテクノロジーガバナンスの枠組み作り、が必要とされる。
1)ライフスタイル・デザイン手法の開発:バイオミメティクス分野の成果が人々のライフスタイルと社会の中へ導入・普及することが喫緊の課題であり、心豊かなライフスタイルと低環境負荷なテクノロジーを如何にマッチングさせ、融合する新しいものつくりができるかが問われている。本年度は、第一フェーズのライフスタイル・デザイン手法を開発し、描かれたライフスタイルの評価と手法改善を行った。
2)Bio-TRIZデータベースの開発:本データベースの構築には、サブセルラー・サイズ構造の多様性のモデル化および従来の検索データベースの調査が必要である。サブセルラー・サイズ構造を模倣した高分子ソフトマテリアルを作製して表面の微細構造と表面特性(超親水性・疎水性特性、自己洗浄機能)との関連性を評価するとともに、企業でのニーズおよび従来の検索データベースの調査、特許庁のデータベース中の生物規範工学に基づいた特許例の収集・分類を行った。
3)テクノロジーガバナンスの枠組み作り:生物規範工学のテクノロジーガバナンスのツールとして位置付けて発行している情報誌PENを活用し、生物規範工学に対する社会の理解を深めると共に、研究開発を支援した。また、ドイツ技術者協会(VDI)との折衝をおこない、国際標準化機構ISOのなかでのISO/TC266 Biomimetics設立へ向けた日本の対応を進めた。国際標準化に日本から新しいワーキングアイテムの提案を行うと共に、これと連動して民間企業を含めた成果普及と産業化促進の枠組みづくりを開始した。

25年度の年次報告書

25年度の年度計画

1)人文科学的アプローチ(石田・古川)

・ライフスタイル・デザイン手法の開発:バックキャスティング手法により、新たに50個のライフスタイルを描き、具体的なライフスタイルをデザインする。デザインした新しいライフスタイルをアンケート調査を中心に評価し、社会受容の高い低環境負荷なライフスタイルを描く手法を開発する。

・ニーズ・シーズマッチング:上述のライフスタイルを実現可能にするテクノロジー・ニーズ(製品、サービス、制度)の抽出手法の開発を開始する。A01班、B01班から提案される予定のシーズとライフスタイル研究で得られたニーズのマッチングを図るため、具体例について、いくつかのシミュレーションを完了する。

2)社会科学的アプローチ(阿多)

・テクノロジーガバナンス構築:ナノテクノロジーのテクノロジーマネジメントに関わるリスク管理策や工業標準化の動向、パブリックエンゲージメント活動の展開等について継続調査を行い、バイオミメティクスのテクノロジーガバナンスのあり方について基本的な指針を明らかにする。また、バイオミメティクスの国際標準化ISOTC266 Biomimeticsが設立されたことを受け、これらの成果を基に総括班と共同して我が国のバイオミメティクス標準化の取り組みを推進する。

3)自然科学的アプローチ(山内・小林)

・サブセルラー・サイズ構造多様性のモデル化:高次機能性材料に必要な、より詳細なモデル化をナノ・マイクロ構造と生物機能の関連性の両面から継続して評価する。また、Bio-TRIZ法を導入することによる高次機能デザインの可能性を検証する。

・TRIZデータベースの構築:高次機能性材料設計に必要な構造を取り入れた、生物の仕組みからより高次のシーズへと展開可能な、基盤となるデータベースを構築する。A01班、B01班の成果についての情報収集を行い、システム機能を拡充していく。

25年度の実績報告概要

生物規範工学を社会に普及・浸透させていくために、以下のことに取り組んだ。

1)ライフスタイル・デザイン手法およびニーズ/シーズ・マッチング手法の開発:バイオミメティクス分野の成果が社会へ導入され普及することが重要な課題である。本年度は、新たなライフスタイルを描くと同時に、昨年度描いたライフスタイルにオントロジー工学を導入し、描いたライフスタイルに必要な技術要素の抽出、さらに自然界のテクノロジーとのマッチングを行った。

2)Bio-TRIZデータベースの構築およびサブセルラー・サイズ構造多様性のモデル化:バイオミメティック製品の標準化に準じた材料開発を誘導できるデータベースの構築を目的に、革新的問題解決法(TRIZ法)を導入したナノ・マイクロ構造と生物機能の体系化について検討し、技術矛盾を解決する原理として自然界にある原理を情報として入れ込んだのがBio-TRIZを試作した。シリコン基板表面を電気化学反応でエッチングすることで、サブセルラー・サイズの表面構造を形成し、このシリコンを鋳型にして、様々な形状の有機材料について、構造多様性のモデル化を検討した。

3)テクノロジーガバナンスの枠組み作り:PENは生物規範工学のテクノロジーガバナンスのツールとして発展をつづけ、日本の生物規範工学の研究開発を強力に支援していくために不可欠の存在となってきた。具体的には研究開発のアウトリーチ活動の機能を担うと共に、研究開発枠組みにもISO/TC266 Biomimeticsの活動等や、一般市民の生物規範工学に対する意識調査の結果等を周知するなど、円滑な社会との双方向コミュニケーションにより、生物規範工学の研究開発に対する信頼の醸成に貢献してきた。

26年度の年次報告書

26年度の年度計画

心豊かなライフスタイルを実現するためのニーズに関して、さらに100種類のラ イフスタイルの行為分解木を作成し、ライフスタイルを表現する標準語彙の集約 を行う。また、その要素技術のシーズを発掘できるように、50以上の技術要件を 抽出し、Bio-TRIZデータベースの機能を拡充する。さらに、Bio-TRIZデータベー スからのアウトプット情報を実験的に検証することで、社会科学的な観点から求 められるバイオミメティクス製品の標準化における認証機能の可能性について探 る。そして、A班バイオミメティクスデータベースと連携し、マッチングするバ イオミメティクス技術の最適化の実現可能性の検証を行う。具体的には以下の3 点について重点的に検討する。

(1)Bio-TRIZデータベースの機能の拡充

バイオミメティクス製品の標準化に準じた材料開発を誘導できるデータベースの構築を目指す。そのためにビッグデータ中でクラスター形成の核となっている生 物機能情報を国内外の研究事例から抽出して、Bio-TRIZデータベース情報の量と 質を拡充する。特に以下の2点について機能化を図る。
①有用な生物機能情報の抽出と材料設計に欠かせない数学的な解析情報の追記 (平成26年度)
②既存のバイオミメティクス製品に関する特許事例の追記(平成26年度) また、B班の技術課題(構造・機能)と解決原理をBio-TRIZの40の原理にリンク させ、B班の技術のような、新たな技術をBio-TRIZデータベースに導入し、新た な応用を見出すプロセスを検討する。

(2)心豊かなライフスタイルを実現するための技術問題解決の事例集作成

ライフスタイルを実現するためのニーズに関して、シーズの発掘を試行して、事 例集を作成する。このため50以上あるライフスタイルで生じる技術要件をBio- TRIZデータベースを用いて、最適化してバイオミメティクス製品の試作を行う (平成26年度~28年度)。この実証過程でバイオミメティクス製品の標準化にお ける認証機能の可能性についても探る(平成26年度)。ここではISO標準化関係 の研究者とも連携して、新たなデータベースとしての役割を検証する。さらには 製品の最適化をA班の長谷山エンジンを通じて行うことで、新たなバイオミメテ ィクス技術の確立を検討する。このような過程を通じてA班のデータベースとの 連携を図る。

(3)各ライフスタイルに共通の要素技術を探索できる仕組みの構築と戦略的重点技術開発への応用

(1)および(2)の実証例に基づいて、100のライフスタイルの行為分解木の 精緻化を進め、ニーズシーズがマッチングした行為分解木が完成する。このよう に完成された行為分解木を構築し、共通性の高い基盤技術が抽出され、社会イン プリケーティングを実現する可能性の高いバイオミメティクス技術の戦略的重点 技術開発が可能となる(平成27年度~28年度)。 社会インプリケーション強化のためには継続してPEN、PENGINの発行を行うが、 同時にバイオミメティクスの社会的訴求を進めるため、社会におけるテクノロジ ーの新しい価値観に立脚したバイオミメティクス展開のための戦略策定と具体的な展開を進める。

p_c01_03

26年度の実績報告概要

バックキャスト手法で描いたライフスタイルの社会受容性と90歳ヒアリング手法から、制約の中での豊かさの構造を評価した。これにより、心の豊かさとは、70の要素で構成され、制約を自らの知恵や技で乗り越えることにより得られるものであることが明らかとなり、技術可能な社会に求められる技術は、単に利便性や快適性を与える技術ではないことが示された。オントロジー工学を導入したライフスタイルの行為分解木の作成については、昨年度に行ったバックキャスト法により描いたライフスタイルだけでなく、自然を基盤として制約の中で暮らしていた90歳ヒアリングのデータの行為分解木の作成に取り組んでいる。90歳ヒアリングのデータを、自然、生と死との関わり、仕事のかたち、などに分類して、50以上の行為分解木を作成し、行為と心の豊かさに関する標準語彙の集約を始めた。

ライフスタイルをさらに細部に分解した技術要素レベルのマッチングに関しては、技術要素を具体的なテクノロジーに展開するためにBio-TRIZ手法の可能性を検討し、プロトタイプデータベースにより、具体的にテクノロジー抽出が出来ることを明らかにした。バイオミメティック製品の標準化に準じた材料開発を誘導できるデータベースの構築について検討した。ビッグデータ中で、クラスター形成の核となる有用な生物機能情報を国内外の研究事例から抽出するとともに解析を行い、データベース情報の量と質を拡充した。さらには、Bio-TRIZデータベースの情報から、電気化学的な高分子合成法により、生物様運動素子などのバイオミメティク材料を開発した。

国際標準化機構(ISO)で進んでいるバイオミメティクスの国際標準化活動ISO/TC266 Biomimeticsの第4回総会がベルギーのリエージュで開催され、WG3 Biomimetic structural optimizationが工業製品の形状やトポロジーの最適化アルゴリズムを国際標準の発行に至った。またWG1におけるバイオミメティクスの用語や定義に関する議論も国際標準として発行されることになった。国際標準化は時間がかかることが問題の一つとされてきたが、逆に今回のように極めて短期間での標準作成はイノベーションの阻害要因になりかねない。その心配が払しょくできない国際標準化活動になっている。また参加国内で十分な議論を重ねないまま本会議の投票が行われている現状は、標準作成プロセスの透明性の担保を難しくしている。そこでタスクグループTransparency and Stakeholder communicationを提案し、関谷がプロジェクトリーダーとなった。

バイオミメティクスの研究開発の成果が、様々な製品として消費者が手に取ることができるようになってきている。さらに製品化に不可欠な工業標準化の議論が国際標準化機構(ISO)で行われている。国内外の市場で流通するバイオミメティクス製品の現状を把握すること、様々な形でバイオミメティクスの研究開発とその応用に携わる関係者の間での情報や知識の共有、さらにはISO/TC266 Biomimeticsで進められている国際標準化の議論への貢献を目的に「バイオミメティクス製品インベントリ」を2015年2月2日に公開した。

27年度の年次報告書

27年度の年度計画

(1) 心豊かなライフスタイルを表現する標準語彙の集約

心豊かなライフスタイルを実現するためのニーズに関して、平成26年度に引き続きライフスタイルの行為分解木を作成し、ライフスタイルを表現する標準語彙の集約を行う。

(2) Bio-TRIZデータベースの機能の拡充

バイオミメティクス製品の標準化に準じた材料開発を誘導できるデータベースの構築を目指す。そのためにビッグデータ中でクラスター形成の核となっている生物機能情報を国内外の研究事例から抽出して、Bio-TRIZデータベース情報の量と質を拡充する。また、B班の技術課題(構造・機能)と解決原理をBio-TRIZの40の原理にリンクさせ、B班の技術のような、新たな技術をBio-TRIZデータベースに導入し、新たな応用を見出すプロセスを検討する。

(3) 生物規範技術のためのテクノロジーガバナンスの確立

社会インプリケーション強化のためには継続してPEN、PENGINの発行を行うが、同時にバイオミメティクスの社会的訴求を進めるため、社会におけるテクノロジーの新しい価値観に立脚したバイオミメティクス展開のための戦略策定と具体的な展開を進める。研究方法としては、意識調査等による社会ニーズを把握し、各研究班の研究成果を踏まえて、的確な社会との相互コミュニケーションを進める。

27年度の実績報告概要

心豊かなライフスタイルを実現するためのニーズに関して、ライフスタイルの行為分解木を作成し、ライフスタイルを表現する標準語彙の集約を行い、心の豊かさを表現する語彙の基礎となる70の語彙の検証を重ね、それを特定した。ライフスタイルの行為を表現する標準語彙と心の豊かさを表現する標準語彙を分離し、引き続き、ライフスタイルの行為を表現する標準語彙の集約の必要性を確認した。

ライフスタイルを行為分解木で記述し、Bio-TRIZに連動させるための技術矛盾を見出す方法論を確立した。また、バックキャスト思考によるLSD、生物解探索、蓄積データ利用の一連のプロセスの方法論を見出すことができた。具体的な地域(北上市)への実装を想定して、LSDから生物解を得られるかの検証、評価方法の検討を開始した。

バイオミメティクス製品の標準化に準じた材料開発を誘導できるデータベースの構築を検討した。また、データベースの初期画面からユーザーが、従来の1)技術矛盾のからの問題解決に加えて、2)工学的視点からの問題解決、3)生物の機能を利用した問題解決、4)バイオミメティックスの特許事例を活用した問題解決の解決法からも、抱えている問題解決を支援できるデータベースへと改善した。また、ビッグデータ中でクラスター形成の核となっている生物機能情報を国内外の研究事例から抽出して、Bio-TRIZデータベース情報の量と質を拡充した。この過程でB班の技術課題(構造・機能)と解決原理をBio-TRIZの40の原理にリンクさせ、各情報を繋いでオントロジー化するための基礎的研究も行った。

バイオミメティクスの社会的訴求を進めるため、社会におけるテクノロジーの新しい価値観に立脚したバイオミメティクス展開のための戦略策定と具体的な展開を進めた。研究方法としては、意識調査等による社会ニーズを把握し、各研究班の研究成果を踏まえて、的確な社会との相互コミュニケーションを進めることができた。

ページの先頭へ戻る