公募研究班(平成25年度)

金森 義明

25年度の実施計画

RGB構造色材料の実現と集積化(ピクセルアレイ化およびピクセルサイズ超微細化)

周辺媒質よりも高い屈折率を持つ誘電体材料を素材とし、導波モード共鳴効果や干渉効果を活かしたRGB構造色の光学設計を行う。光学設計に基づき、試作する。ピクセルサイズの微細化を実証し、どこまで微細化可能か明らかにする。特定のデザインをRGB表示し、超解像カラーフィルタをデモンストレーションする。設計は、Finite Difference Time Domain (FDTD)法やRigorous Coupled-Wave Analysis (RCWA)法による数値計算により、サブ波長構造と電磁波の相互作用を厳密に求める。RGB各フィルタは構造(周期、寸法、形状)がそれぞれ異なるが、各色フィルタのピクセルを所定ピッチでアレイ配置して一括製作する。顕微分光装置、デジタル顕微鏡、走査電子顕微鏡を用いて、試作したRGB構造色フィルタの垂直反射・透過分光特性や形状を評価する。10μm角以上のピクセルサイズは、自作の微小領域可変角度反射測定装置で角度特性を評価する。

25年度の実施報告

本研究は、生物の表面微細構造に由来する構造色を模倣し、構造由来による光応答周波数を制御して三原色(RGB)構造色材料の高機能化と集積化の実現を目的とする。本年度は、周辺媒質よりも高い屈折率を持つ誘電体材料を素材とした導波モード共鳴効果に基づく構造色利用カラーフィルタ、薄膜の光干渉を利用した構造色利用カラーフィルタの光学設計および試作を行った。光学設計は、Rigorous Coupled-Wave Analysis (RCWA)法による数値計算を用いて、構造と電磁波の相互作用を厳密に求めた。赤、緑、青の発色に成功した。各フィルタは構造(周期、寸法、形状)がそれぞれ異なるが、各色フィルタのピクセルを所定ピッチでアレイ配置して一括製作することができた。各フィルタ面積は0.25mm×0.325mmで、微細領域に製作することができた。測定した反射スペクトルの共鳴波長は数値計算結果に近い値を示した。薄膜の光干渉を利用した構造色利用カラーフィルタは、石英基板上に成膜したPMMAを電子線露光によりキャビティを形成し、別基板上に形成した約500nm、600nm厚のPMMA薄膜をキャビティ上に接合することができた。試作の結果、赤、緑の発色に成功した。各色のフィルタ面積は0.035mm×0.035mmで、微細領域に製作することができた。測定した反射スペクトルは計算結果と同様の特性を示した。

26年度の実施計画

周辺媒質よりも高い屈折率を持つ誘電体材料を素材とし、導波モード共鳴効果、干渉効果、光散乱を活かしたRGB構造色の光学設計を行う。光学設計に基づき、試作する。ピクセルサイズの微細化を実証し、どこまで微細化可能か明らかにする。また、昨年度の試作結果を踏まえ製作条件を見直し、精度を向上することで、分光効率向上および分光帯域制御性を向上させる。特定のデザインをRGB表示し、超解像カラーフィルタをデモンストレーションする。設計は、Finite Difference Time Domain (FDTD)法やRigorous Coupled-Wave Analysis (RCWA)法による数値計算により、サブ波長構造と電磁波の相互作用を厳密に求める。RGB各フィルタは構造(周期、寸法、形状)がそれぞれ異なるが、各色フィルタのピクセルを所定ピッチでアレイ配置して一括製作する。顕微分光装置、デジタル顕微鏡、走査電子顕微鏡を用いて、試作したRGB構造色フィルタの垂直反射・透過分光特性や形状を評価する。10μm角以上のピクセルサイズは、自作の微小領域可変角度測定装置で角度特性を評価する。

26年度の実施報告

本研究は、生物の表面微細構造に由来する構造色を模倣し、構造由来による光応答周波数を制御して三原色(RGB)構造色材料の高機能化と集積化の実現を目的とする。本年度は(1)導波モード共鳴効果に基づく構造色利用カラーフィルタの広視野角化および(2)構造色材料と光電変換デバイスを集積化した波長選択ディテクタの基礎検討を行った。以下、それぞれの概要を述べる。
(1)導波モード共鳴効果に基づく構造色利用カラーフィルタの広視野角化:
構造色利用カラーフィルタを製作する基板として、石英基板能上に100nm厚の単結晶シリコンが堆積されたSilicon on Quartz基板を用いた。正方配列およびヘキサゴナル配列から成る、垂直入射光に対して偏光無依存の二次元周期サブ波長構造をそれぞれ考え、Rigorous Coupled-Wave Analysis法による数値計算手法を用いて設計を行った。赤、緑、青フィルタの周期をそれぞれ400,340,300nmと選定した。製作は、電子線描画と高速原子線加工を用いた。製作した、赤、緑、青の各フィルタからの反射色の色相が入射角θ=0~50°の範囲においてそれぞれの色相に収まっており、広い視野角が実現された。今回測定した範囲内で、最大反射率81%が赤フィルタ(θ=0°、波長620.84nm)で実験的に得られた。また、θ=50°の斜め入射光に対する全てのカラーフィルタの最大反射率は50%を越えており。高い反射率を維持していると言える。
(2)構造色材料と光電変換デバイスを集積化した波長選択ディテクタの基礎検討:
アモルファスシリコンを用いた薄型の構造色材料を設計し、石英基板上に製作した。またシリコンpn接合を用いたフォトダイオードを試作し、電流ー電圧特性を評価した。

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