計画研究

A01

研究概要

本研究の目的は、博物館と情報科学が有機的に連携をすることで、新たな技術を開発しようとする工学研究者が、昆虫、鳥類、魚 類など生物多様性と適応に関する情報を検索し、技術革新の着想を得ることのできる、発想支援型データベースシステムを構築することである。これまで学術界 に縦割り的な傾向が強かったわが国は、欧米諸国に比べ、このような異分野連携については周回遅れともいえる遅滞した現状にある。
本研究では、工学と生物学との連携の基礎となるデータベースを、近年発達の著しい情報科学の成果を駆使して構築する。本データベースは、生物の構造や機 能、プロセスを規範とする新しい工学分野の創生をもたらすとともに、工学研究者と生物学研究者の恊働によってデータベース構築の過程で得られる種々のデー タやその解析結果は、生物進化研究へも多大なフィードバックをももたらす。
本プロジェクトによって構築するデータベースは、インターネット上で公開し、工学や生物学の研究者のみならず、企業、行政をはじめ、博物館利用者が広く 利用できるようにする。さらに本プロジェクトでは、研究成果をより多くの人に分かりやすく伝えるため、博物館の活動として一般向けの普及啓発書の出版を行 う。とりわけ、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を中心としたデータベースであることから、博物館の新しい展示コンテンツの開発とその利用を企画する。
平成24-25年度には継続して科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)においてフィージビリティースタディを開始した。 CREST研究では、本研究で重要な役割を果たす画像データへのタグ付けや画像検索のアルゴリズムなどの検証を一部の昆虫について行い、その妥当性を確認 しつつある。本研究ではより多様な昆虫種、鳥類、魚類などの幅広く生物群の対象を拡張する。本研究では、きわめて多様で異質な生物種に対して、データベー スの統合化と、バイオミメティクス研究への有効性検証に主眼を置く。成果発信の方法については、博物館の機能を駆使することで、一般へのアピールや人材育 成、リカレント教育に力点を置くこととする。

p_a01_01

研究目的

本研究の目的は、「生物の技術体系」を模倣することで技術革新の着想を得るために、昆虫、鳥類、魚類などが有するサブセルラーサイズの構造とその機能に関する生物学の知識を体系化し、「生物規範工学」のシーズとなる情報基盤を構築することである。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)観察をもとにした画像検索技術と、生物学的知見のオントロジー工学に基づく体系化とを組み合わせて、オープンイノベーションのプラットフォームとなるデータベースの構築を行う。これにより工学と生物学との密接かつ円滑な連携のみならず、進化生物学へのフィードバックも可能となる。
このような生物学と情報学の連携により、生物形態を規範として材料開発の着想を得るための発想支援型データベースを構築する。モスアイなどの「サブセルラー・サイズ構造」を中心とした、工学的に有望な生物構造の網羅的探索を可能にする。

 

28年度の実施計画

本年度は研究期間の最終年度であり、これまで蓄積してきたデータをさらに充実させるとともに、これまでの研究成果の取りまとめを行う。生物系2小班では、昨年度までに引き続き、昆虫、魚類から走査型電子顕微鏡(SEM)画像などの生物画像データを収集する。野村小班では、B01-2班およびB01-4班での研究に寄与するために昆虫のモスアイ構造や構造色に重点を置いている。また、篠原小班では、B01-1班およびB01-3班での応用研究に向けた魚類のデータ提供を図っている。これらの方針は今年度も継続する。あわせて各構造に関する機能や、対象生物群の生息環境、系統関係等の生物学的情報をまとめたテキストデータを作成する。生物系データの蓄積により、バイオミメティクスに関する深い知識と幅広い発想が期待できる。
情報系担当2小班では、昨年度開始した「バイオミメティクス・データ検索基盤」試作システムの領域内での試験運用結果に基づき、これまでに開発してきたデータベースと検索システムの充実をはかる。領域内他班に対する画像検索システムの公開を継続し、フィードバック情報を集積してシステムの高度化を図るとともに、研究期間終了後の持続的な運用法についても検討する。本データベース構築の特色は、独創的な工学的発想をもたらす画像検索と、生物情報に関するオントロジーと組み合わせることで、極めて異質なデータ同士の統合を可能にし、独自の発想を実現する点にある。異分野連携の可能性を実際のシステムで示したテキストデータについては、オントロジー技術を用いて専門分野の壁を超えた検索機能を実現しつつある。C01班と連携し、社会科学的視点からの検索機能を組み込むことによって、異分野連携をさらに充実させる。
昨年度末には、本領域の活動に関連する普及啓発書の出版を実現した。また今年度、博物館を利用した企画展示を実施する。これらのアウトリーチ活動をきっかけとして、引き続き各方面への普及と人材育成、異分野連携の態勢強化を図る。さらに研究成果を発信する方法として、工学系、社会科学系の他班と連携して、学会誌等への論文投稿や、学会、講演会等における成果発表を行う。

」の試作システムの班内での試験運用結果に基づき、これまでに開発してきたデータベースと検索システムの充実をはかる。領域内他班に対しても画像検索システムを順次公開し、フィードバック情報を集積してシステムの高度化を図るとともに、研究期間終了後の持続的な運用法についても検討する。異分野連携の可能性を実際のシステムで示したテキストデータについては、オントロジー技術を用いて専門分野の壁を超えた検索機能を実現しつつある。C01班とも連携し、社会科学的視点からの検索機能を組み込む。

得られた結果を基にして本年度、普及啓発書の出版、博物館を利用した企画展示などのアウトリーチ活動を通して、各方面への普及と人材育成を図る。さらに研究成果を発信する方法として、学会誌等への論文投稿や、学会、講演会等における成果発表を行う。

ページの先頭へ戻る