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B01-1班

28年度の実施計画

これまでに得られた自己組織化を利用した微細構造作製やトライボロジー能に関する知見をもとに、生物学的な視点から機能性表面の作製を継続して目指す。ただし最終年度に当たり、成果の具体的創出に注力する。以下に具体的な研究内容と方法について述べる。
① 動的に表面形状を変形可能なリンクル構造を生物表面、特に魚鱗等のモデルとして利用、表面を海洋生物の粘液模倣高分子ブラシで修飾することで、摩擦特性を評価し、海洋生物模倣表面作製を目指す。
② 海洋付着生物学者の野方らを中心に、上記魚鱗模倣表面や種々の自己組織化微細構造における海洋生物、特にフジツボや付着藻類の接着性を調査、海洋生物の付着と微細構造表面の関係性を明らかにしていく。
③ A01-1班(篠原ら)、B01-5班(劉ら)とともに、遊泳性の異なるサメ肌表面の微細構造をナノスーツ法等を駆使して解析し、微細構造と流体抵抗との関係性を明らかにし、低流体抵抗表面の設計指針を得るとともに、生物学への情報のフィードバックも図る。
④ B01-2班(針山ら)とともに、当該班で得られた知見である自己組織化微細構造の形成技術を、無反射表面であるモスアイ構造に適応し、太陽電池の性能向上を検討する。
⑤ B01-3班(穂積ら)とともに溝構造等を利用したウツボカズラ等を模倣した防汚表面を開発する。
上記と平行してA01-1班のデータベースを活用、微細構造画像データの共有、生物表面の微細構造と機能を調査することで、生物規範的課題の創出を狙う。

28年度の実績報告概要

平成28年度の計画は、これまでに得られた自己組織化を利用した微細構造作製やトライボロジー能に関する知見をもとに、生物学的な視点から機能性表面の作製を継続して目指し、最終年度に当たっての成果の具体的創出への注力あった。これらに対し以下の検討を行った。
1.構造として前年より進化させ、平織物を埋め込んで作製したシワのドライ摩擦測定を行い、シワ形成時に繊維の突出により大幅に摩擦力が下がることを発見、摩擦力を大きくスイッチングできる表面の進化に成功した。
2.B01-3班で開発された着氷雪防止フィルムを千歳科学技術大学に設置されている太陽光パネルに貼付、添付されていないガラス表面と比べ雪が滑落しやすいデータが得られた。
3.国立科学博物館及び美ら島財団から譲り受けた生の鮫肌サンプルの流体抵抗を測定し、測定方法を確立した。
4.国立科学博物館の篠原グループの情報を基に、ウバウオの吸盤における六角形の表面パターンが水中での吸着に及ぼす影響を系統的に検討し、ハニカム状のパターンよる吸着界面水の排出を迅速にすることで、瞬間的な水中吸着を実現していることが理解できた。
5.親水性粘液で被覆された魚類体表を模倣した表面の構築を目指し、超親水性リンクル構造表面を調製に成功し、また摩擦特性の異方性を確認した。
6.走査プローブ顕微鏡(SPM)の探針にキプリス幼生を生きたまま固定化し、その触角とガラス表面およびスルホベタイン型双性イオン高分子電解質(PMAPS)ブラシ表面との相互作用を直接測定することで、幼生の探索行動中における凝着力の測定に成功した。
7.付着珪藻等を用いた防汚性能試験を、構築した循環水槽系を用い、ポリスチレンやポリイミドの微細凹凸構造について評価を行い、凹凸の周期や高低差との相関を得た。

 

(アーカイブ)

 

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