公募研究班(平成25年度)

Olaf Karthaus

25年度の実施計画

まず始めに、表面構造を持つマイクロ粒子のライブラリをいくつかの方法で設立したいと考える。
(1) 水中油型乳剤が重合される「乳化重合」という既に確立された方法がある。大久保ほか多くの研究で既に共重合やシード重合による様々なマイクロ粒子の作製に ついて報告がなされている。ディンプル構造、リッジ構造、半球体などを作ることができ、粒子のサイズは100nm-1μm である。申請者はモノマー比、種類、乳化剤の濃度などを変化させることでPMMA/ポリスチレンの共重合を得るために乳化重合を用いるつもりである。
(2)オイル層にある2つのポリマーを含む乳化剤による相分離構造を持つマイクロ粒子の作する。溶媒蒸発の間に相分離が生じ、1~50μm のサイズの粒子が作られる。溶媒、乳化剤、高分子のタイプ、濃度比によってディンプル構造が作られる。耐久性のあるマイクロ粒子を作るためには、ポリカーボネートやポリスルホン、ポリアミド酸、またポリへキシルチオフェンのような導電性高分子をスクリーニングする必要がある。
(3)、不溶性のマイクロ粒子(直径5-50μm)をポリアニリンパッチでコーティングし、粒子の表面を花粉の表面のように構造化する。
(4)その他の機能的な表面作製の方法は、有機または無機のナノ結晶やナノ粒子で表面処理することである。手法(3)にも近いが、我々は酸化チタンのナノ結晶で多孔質ポリマーフィルムをコーティングすることに成功した。この方法でも直径5-50μm のマイクロ粒子からコーティングを始めるつもりである。
(5)様々な方法(1)~(4)で作成した粒子を光学顕微鏡や電子顕微鏡でイメージングする。
(6)イメージデータベースに入力する。

25年度の実施報告

花粉のバイオミメティクスについての平成25年度の研究は主に次の二つに大別される。

①   花粉の分析:合計12種類の花粉の耐久性や蛍光の特徴を分析した。種類によって花粉は300~400℃まで形状を保持することがわかった。花粉に紫外線、可視光の光を照射すると、強い蛍光を発光することもわかった。蛍光性は加熱すると減少するが、300~350℃までは蛍光性が観察できた。さらに、分析からわかったことは、花粉の外壁材料(スポロポレニンという化合物、分子構造はまだ不明)は熱に強く、含まれる蛍光物質も非常に耐久性があるということである。しかし、超高水圧のウェットジェットミルの噴射の条件を制御すること(水圧、噴射時間)で、花粉の外壁を破ることが可能になることがわかった。

②   花粉と構造の似た高分子微粒子の作製:ポリスチレンとポリメチルメタクリル酸の有機溶媒と水を用いて乳化状態を作り出し、基盤に塗布し、ポリマーブレンドの混合粒子を作製した。使用する乳化剤(ポリビニルアルコール、キトサン、グアルガムなど)によって微粒子の相分離構造が違ってくる。「ヤヌス粒子」(それぞれ高分子の相は半球)、「ラズベリー粒子」(高分子粒子の表面に小さい相分離構造がある)などのモルフォロジーの作製に成功した。粒子の平均直径は高分子濃度で制御できることもわかった。エンプラのポリスルフォンを用いたポリスチレンブレンド粒子やポリメチルメタクリル酸粒子と非常に微小なラズベリー粒子が作製できることがわかった。非常に微小な表面構造になる理由はポリスルフォンの表面エネルギーが小さいことによると考えられる。さらに、乳化状態の水溶液に独自に合成した無機材料(単分子シリカ粒子、金のナノコロイド)と既成の無機材料(酸化チタン結晶)を分散し、高分子微粒子の表面に無機材料を吸着させることにも成功した。

26年度の実施計画

まずはじめに、表面構造を持つマイクロ粒子のライブラリをいくつかの方法で設立したいと考える。

(1)オイル層にある2つのポリマーを含む乳化剤による相分離構造を持つマイクロ粒子を作製する。溶媒蒸発の間に相分離が生じ、1-50μmのサイズの粒子が作られる。溶媒、乳化剤、高分子のタイプ、濃度比によってディンプル構造が作られる。耐久性のあるマイクロ粒子を作るためには、ポリカーボネートやポリスルホン、ポリアミド酸、またポリヘキシルチオフォンのような導電性高分子をスクリーニングする必要がある。

(2)不溶性のマイクロ粒子(直径5-50μm)をポリアニリンパッチでコーティングし、粒子の表面を花粉の表面のように構造化する。

(3)その他の機能的な表面作製の方法は、有機または無機のナノ結晶やナノ粒子で表面処理することである。手法(2)にも近いが、我々は酸化チタンのナノ結晶で多孔質ポリマーフィルムをコーティングすることに成功した。この方法でも直径5-50μmのマイクロ粒子からコーティングを始めるつもりである。

(4)様々な方法(1)〜(3)で作製した粒子を光学顕微鏡や電子顕微鏡でイメージングする。

26年度の実施報告

花粉のバイオミメティクスについての研究は主に次の二つに大別される。 ①花粉の分析:合計12種類の花粉の耐久性や蛍光の特徴を分析した。種類によって花粉は300~400℃まで形状を保持することがわか った。花粉に紫外線、可視光の光を照射すると、強い蛍光を発光することもわかった。蛍光性は加熱すると減少するが、300~350℃ま では蛍光性が観察できた。さらに、分析からわかったことは、花粉の外壁材料(スポロポレニンという化合物、分子構造はまだ不明) は熱に強く、含まれる蛍光物質も非常に耐久性があるということである。しかし、超高水圧のウェットジェットミルの噴射の条件を制 御すること(水圧、噴射時間)で、花粉の外壁を破ることが可能になることがわかった。 ②花粉と構造の似た高分子微粒子の作製:ポリスチレンとポリメチルメタクリル酸の有機溶媒と水を用いて乳化状態を作り出し、基盤 に塗布し、ポリマーブレンドの混合粒子を作製した。使用する乳化剤(ポリビニルアルコール、キトサン、グアルガムなど)によって 微粒子の相分離構造が違ってくる。「ヤヌス粒子」(それぞれ高分子の相は半球)、「ラズベリー粒子」(高分子粒子の表面に小さい 相分離構造がある)などのモルフォロジーの作製に成功した。粒子の平均直径は高分子濃度で制御できることもわかった。エンプラの ポリスルフォンを用いたポリスチレンブレンド粒子やポリメチルメタクリル酸粒子と非常に微小なラズベリー粒子が作製できることが わかった。非常に微小な表面構造になる理由はポリスルフォンの表面エネルギーが小さいことによると考えられる。さらに、乳化状態 の水溶液に独自に合成した無機材料(単分子シリカ粒子、金のナノコロイド)と既成の無機材料(酸化チタン結晶)を分散し、高分子 微粒子の表面に無機材料を吸着させることにも成功した。

 

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