総括班
総括班
28年度の研究実施計画
総括班の強いリーダーシップにより本研究領域全体の有機的な連携を推進するため、班間共同研究の促進、女性・若手研究者支援、次世代研究者育成と教科書編集、産学連携の促進、国際会議等による研究成果の発信、データベースの運営、博物館機能を利用した情報発信等を行う。また、バイオミメティクス国際標準化国内審議委員会、バイオミメティクス推進協議会との積極的な連携を図り、新学術領域創造のためのシステム構築を行う。
(1)A班のバイオミメティクス・データベース、画像検索システムとオントロジー、C班のBioTRIZをB班と公募班が有効に活用することで、論文発表に結びつけるために画像検討会を定期開催する。バイオミメティクス推進協議会、高分子学会バイオミメティクス研究会等との連携を図り、シーズオリエンテッドとニーズオリエンテッドの双方から利用できるシステムを構築し、工学への技術移転と生物学へのフィードバックを図る。
(2)「サブセルラー・サイズ構造」の真の描像と機能発現機構を解明するため、生きた状態での高解像度SEM観察を可能とするナノスーツ法の普及をはかる。ナノスーツは、生物が分泌する保護膜を模倣したbiomimetic biofilmであり、魚類や植物など湿潤状態の試料や、生きた状態で機能を発現している表面微細構造の“その場観察”が可能となる。ナノスーツ法実施拠点形成に向けて、ナノテク支援プラットフォームやバイオミメティクス推進協議会等との連携を図る。
(3)国際標準化については、ISO TC266 Biomimetics国内審議委員会との連携のもと、我が国から提案したWG4Knowledge infrastructure of biomimeticsの成立に向けて第6回国際委員会において主導的立場を取るとともに、バイオミメティクス・データベースのデータ・ジャーナル化を視野にいれ、パリ自然史博物館等と国際的博物館ネットワーク形成を図る。
(4)高分子学会、日本化学会、日本顕微鏡学会、日本応用動物昆虫学会等との共催講演会、研究会を継続的に開催し、積極的に異分野連携を図る。
(5)定期開催している国際シンポジウム、大規模展示会であるnanotech展における研究成果発信、国立科学博物館等における企画展開催を行なう。
(6)教科書編集委員会において日本語教科書ならびに英語出版物を編集する。
28年度の実績報告概要
(1)「バイオミメティクス・データベース」をプラットフォームとして、情報科学による生物から工学への技術移転を支える発想支援システムを確立するために、ナノテクノロジービジネス推進協議会、高分子学会において、画像検索システム、生物規範工学オントロジーなどの有効性を検証した。
(2)ナノスーツ法を利用した魚類や植物など湿潤状態の試料、生きた状態での表面微細構造観察の普及を行った。とりわけ、「nanotech2017第16回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」における実演展示はNHKワールドTVで紹介された。
(3)ベルリンで開催された国際標準化委員会において、我が国から提案したKnowledge infrastructure of biomimeticsの議論を行った。フランスで開催されたBiomim’Expoに出席し、パリ自然史博物館等とのネットワーク形成を基盤とするバイオミメティクス・データベースのデータ・ジャーナル化等の検討を行った。国際会議Engineering Neo-biomimetics VIIならびに5th Nagoya Biomimetics International Symposiumを開催した。
(4)第65回高分子討論会、第97会日本化学会春季年会ATP企画、JASIS 2016併設コンファレンス等において、バイオミメティクスに関するセッションを企画し、国際ナノテクノロジー展において”バイオミメティクス・ネットワーク・ジャパン”を出展した。
(5)「インスツルメンテーションの視点からみたバイオミメティクス」、「バイオミメティクスの技術展望と産業動向」の出版、化学経済、日本知財学会誌、島津評論、成形加工、表面技術等の学協会誌で特集号を企画した。
(6)国立科学博物館日本館において、「生き物に学び、くらしに活かす 博物館とバイオミメティクス」展を主催した。