【2013. 3. 29】 「界面のエントモミメティクス:嗅覚と接着」
2013年03月29日
日時:2013. 3. 29
場所:神奈川県 日本大学 生物資源科学部
2013年3月29日、B01-4班の森直樹先生と高梨琢磨先生が日本大学生物資源科学部本館3階C会場にて、第57回日本応用動物昆虫学会大会小集会 「界面のエントモミメティクス:嗅覚と接着」 を開催します。
第57回日本応用動物昆虫学会大会小集会
「界面のエントモミメティクス:嗅覚と接着」
日時:3月29日 15:30-17:00
場所:日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市)本館3階C会場(31番講義室)
:森直樹(京大院農)・高梨琢磨(森林総研)
プログラム:
1) ○光野秀文・櫻井健志・神崎亮平(東大先端研)
「昆虫の嗅覚受容体を利用した匂いバイオセンサの開発」
要旨 :
既存の匂いセンサは主に金属酸化物半導体や水晶振動子と呼ばれる工学的技術 に基づいて構築されその一部は実用化されているが、検出感度、 対象となる 匂いの種類、反応速度といった性能に問題があり、生物の持つ嗅覚系の性能には 及んでいない。
生物の中でも昆虫は特に優れた嗅覚系を もち、様々な匂い物質 を高感度でリアルタイムに検出できる仕組みを備えている。近年、この高感度か つリアルタイムな匂いの検出が触角に存在す る嗅覚受容細胞の膜上で機能する
嗅覚受容体によって成し遂げられていることが明らかにされてきた。そこで、我々は昆虫の嗅覚受容体に着目し、 既存のセンサ性能を上回る高性能な匂いセンサの開発を目指し研究を進めている。これまでに昆虫の嗅覚受容体を発現させたアフリカツメガエル卵 母細胞を流路チップ上にアレイ化することで、複数の匂い物質を高感度かつリアルタイムに検出できる匂いバイオセンサを開発した。
現在では、嗅 覚受容体を安定化発現させた培養細胞を利用することで、バイオセンサの課題であるライフタイムや応答測定の安定性を克服した匂いバイオセンサの開発を進めている。本小集会ではこれら匂いバイオセンサの開発研究について紹介する。
2) ○細田奈麻絵(物材機構)・Stanislav N. Gorb(Kiel Univ.)
「ハムシの泡を利用した水中接着機構の発見と新しい水中接着技術への応用」
要旨:
陸上で生息するハムシGastrophysa viridula (コウチュウ目: ハムシ科)は、脚の裏に接着性に優れた剛毛があり、分泌液を介して生息環境の表面上を歩行している。分泌液は剛毛の接着性に大きな役割を果たしていると考 えられていることから、水中でのハムシの行動は全く知られていなかった。
本研究では、ハムシの水中での行動を観察し、ハムシが剛毛の間に蓄え られた小さな泡を利用して水中歩行できることを発見した1)。泡の役割を調査する目的で、表面のぬれ性の異なる試料を用意し、大気中と水中で のハムシの牽引力の違いを調査し、更に剛毛の水中での被着表面との接着状態の観察を行った。その結果、ぬれ角が40度程度の親水性表面上で は、ハムシの牽引力は大気中に比べると水中では大きく減少したが、疎水性の表面上では変化しないことが分かった。
本研究により泡は被着表面に 対して接着の役割と水を弾いて剛毛を直接被着表面に接着させる役割があることが分かった。ハムシの水中接着のしくみを新しい接着技術に応用し、毛状構造と泡を利用した接着剤のいらない新しい水中接着機構の開発に成功した。
参照文献:1) N. Hosoda and S. N. Gorb, Proc. of the Royal Society B,
(2012) 4236-4242, published online.
※大会参加のお申し込み・会場の詳細については下記URLをご参照ください
http://57.odokon.org/