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B01 生物規範設計

生物の多様性は長年にわたる進化と適応の結果であり、その模倣は多様な機能を持った材料設計の良い手本となる。生物の「サブセルラー・サイズ構造」の生物 学的機能と発生・形成プロセスを物理化学的手法を駆使して解明し、新たな機能材料の設計と作製に転用する。水中生物の付着機構、昆虫や植物の接着と撥水の 仕組、昆虫の翅や体表クチクラの光学特性、化学センシング、防御と環境適応、細胞移動のメカニクス、飛翔や遊泳、などの生物機能を「構造」、「動き」、 「制御」の観点から解明し、自己組織化や自己集合を含む階層構造形成プロセスを用いて工学的な新規材料として創出する。これによって、リソグラフィなどの 多量のエネルギーを消費するプロセスに頼ることなく、炭素や窒素などの汎用元素を主な原料とする「持続可能社会」の技術基盤を作り出す。すなわち、毒性の 低い害虫駆除、リサイクル可能な接着剤、化合物半導体や希少元素を使わない高感度センサー、低摩擦表面材料、防汚・抗菌塗料、多機能性細胞培養基材、小型 飛翔ロボット、などを具体化する。最終的には、「エネルギー消費の少ない生産工程」、「効率的なエネルギー利用」、「汎用元素の利用」に支えられた「持続 可能社会」の実現に向けた具体的な材料設計例を示す。

本班は、5つの計画研究グループで構成し、「サブセルラー・サイズ効果」を「構造」、「動 き」、「制御」をキーワードとした融合研究の成功例を提示するとともに、A01 班へ成果をフィードバックすることでバイオミメティクス・データベースの作成に寄与する。さらに、異分野連携の成果を社会学的マッチングによって技術体系 化を図るC01 班との検証作業を通じて、研究成果の「持続可能性」社会の実現に向けた寄与を明確にする。

B01-1 生物規範界面デザイン

サメ肌や魚鱗など、生物表面の凹凸構造のモデルとして、自己組織化によって形成する微細構造、特に周期的な座屈によって形成するリンクル(しわ)構造に着目し、その表面構造と海洋付着生物等の接着性を調査することにより、生物表面における防汚機能のメカニズムを解明し、微細構造による抗付着性機能表面の開発を目指す。また接着を究極の高摩擦状態という新しい視点で捉え、生物表面のトライボロジー特性と接着性の関係を総括的に解明、微細構造を利用した新規機能性材料の作製を目指す。研究内容: これまで生体類似の自己組織化微細構造やゲル等を用い、動的に表面微細構造の変形を可能とする新規材料を作製してきた。今後は、これら微細構造を生体分泌物模倣高分子で化学修飾することで更なる高機能化を図るとともに、26年度より分担者となった野方(生物学者)を中心に魚鱗の動きや海草類の柔軟性に着目し、微細構造が動的に変化する材料表面への海洋付着生物等の接着を調査し、抗付着性機能表面を創出する。同時に既獲得知見を基に、A01-1, B01-5班と共同し、サメ肌微細構造の解析により遊泳性と流体抵抗との関係性を明らかにし、低流体抵抗表面の設計指針を得る。またB01-2班とは自己組織化微細構造を利用した太陽電池性能向上や、B01-3班とは微細構造を利用した防汚表面の開発等を連携して行う。

B01-2 生物規範機能構造・形成プロセス

細胞分泌物による「サブセルラー・サイズ構造」の形態形成過程と多様な機能(撥水、光学)を明らかにし、自己組織化などによる製造プロセスを開発する。

 B01-3 生物規範階層ダイナミクス

生物規範階層ダイナミクス:「サブセルラー・サイズ構造」が有する階層性と動的な特性を規範として、可逆的接合技術、防汚/防錆材料、円偏光反射材料などを開発する。

B01-4 生物規範環境応答・制御システム

 植物の防御、昆虫の情報伝達、環境適応等における「制御」系の「サブセルラー・サイズ効果」を解明し、汎用元素を使った高感度センサー、低環境負荷型植物保護法、省エネルギー型長期保存法などを実現する。

B01-5 生物規範メカニクス・システム

メカニクスとフルイディクスの観点から、「サブセルラー・サイズ構造」が生み出す「動き」の解明を細胞レベルから器官(昆虫の翅)にいたる階層において明らかにする。

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