Karthaus Olaf
研究概要
本研究の目的は花粉のバイオミメティック(生物模倣)である。花粉表面上にはしばしばその植物に特有なマイ
クロパターンが見られる。
そこで申請者は花粉の機能を、人工類似物の作製によって本物の花粉と比較調査することで追求したいと考えて
いる。申請者は乳化重合を用いた自己組織化や前もって生成された高分子ビーズによる表面処理によって、高分
子の粒子を飾ることに焦点を当てている。材料として使われるのは高分子、または酸化チタンなどの無機質のナ
ノ粒子である。
この研究の結果はデータベース化され、学会発表されることになる。いずれにせよ、花粉が人間にとって身近な
存在であるため、この研究は、近い将来市民講座等で一般の人々にも届く話題となることであろう。花粉のバイ
オミメティクスについては本の中で最新の花粉研究と人工的な疑似花粉構造物について取り上げる予定である。
25年度の実施計画
まず始めに、表面構造を持つマイクロ粒子のライブラリをいくつかの方法で設立したいと考える。
(1) 水中油型乳剤が重合される「乳化重合」という既に確立された方法がある。大久保ほか多くの研究で既に共重合やシード重合による様々なマイクロ粒子の作製について報告がなされている。ディンプル構造、リッジ構造、半球体などを作ることができ、粒子のサイズは100nm-1μm である。申請者はモノマー比、種類、乳化剤の濃度などを変化させることでPMMA/ポリスチレンの共重合を得るために乳化重合を用いるつもりである。
(2)オイル層にある2つのポリマーを含む乳化剤による相分離構造を持つマイクロ粒子の作する。溶媒蒸発の間
に相分離が生じ、1~50μm のサイズの粒子が作られる。溶媒、乳化剤、高分子のタイプ、濃度比によってディン
プル構造が作られる。耐久性のあるマイクロ粒子を作るためには、ポリカーボネートやポリスルホン、ポリアミ
ド酸、またポリへキシルチオフェンのような導電性高分子をスクリーニングする必要がある。
(3)、不溶性のマイクロ粒子(直径5-50μm)をポリアニリンパッチでコーティングし、粒子の表面を花粉の表面
のように構造化する。
(4)その他の機能的な表面作製の方法は、有機または無機のナノ結晶やナノ粒子で表面処理することである。手
法(3)にも近いが、我々は酸化チタンのナノ結晶で多孔質ポリマーフィルムをコーティングすることに成功し
た。この方法でも直径5-50μm のマイクロ粒子からコーティングを始めるつもりである。
(5)様々な方法(1)~(4)で作成した粒子を光学顕微鏡や電子顕微鏡でイメージングする。
(6)イメージデータベースに入力する。