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【2015.3.19】自然模倣技術・システムによる環境技術開発に関わる ワークショップが開催されました

2015年03月26日

日時:2015年3月19日
場所:北海道大学工学部 応用科学研究棟 レクチャーホール

「自然模倣技術・システムによる環境技術開発に関わるワークショップ」

B3−03班 産総研 穂積篤

2015年3月19日(13:30−18:00)に、北大工学部フロンティア応用科学研究棟 レクチャーホールにて「自然模倣技術・システムによる環境技術開発に関わるワークショップ」が開催された。最初に下村新学術領域代表から本ワークショップの趣旨説明を頂いた後、環境省総合環境政策局総務課環境研究技術室長の吉川和身氏から、「環境省は、環境規制、モニタリング、温暖化対策等、規制官庁のイメージがあり、技術、科学に対しては派手な貢献はない。しかし、生物を使った浄化技術等(環境工学、環境保全)の実績はある。環境省としては、将来的にバイオミメティクスを環境技術として使って行こうと考えている。ただ、バイオミメティクスの高いポテンシャルを認めているが、どうやって役所のシステムに落とし込んでいくのかが今後の課題であり、更なる議論が必要であると考えている。環境省単独ではなく、各省庁(文科省、経済省)と連携で進めていきたい。」旨のご挨拶を頂いた。続いて、富士通総研の長谷川誠氏から、環境省事業「自然模倣技術・システムによる環境技術開発推進検討について」の事業報告があり、それ以外に5件の招待講演とパネルディスカッションが行われた。下記にそれらの講演の概略を記載する。

1)富士通総研 長谷川誠氏
環境省事業「自然模倣技術・システムによる環境技術開発推進検討について」
事業の目的は、環境研究、環境技術開発の戦略をインプットすること、実証への展開を目的に、調査・検討を実施することであり、H25の事業提言では、企業が何を考えているか?のヒアリング結果をもとに、短中期的な取り組みとして以下の6つの項目が挙げられた。

  1. プラットフォームとしてのデータ解析基盤整備
  2. 地域での実証事業による成功事例の創出
  3. 研究の推進と体制構築
  4. 利用者への普及
  5. 大学・企業への普及、啓発、人事育成
  6. 対象領域、対象範囲の拡大

これをもとに、H26事業の実施内容として4つの項目が実施された。

  1. 自然模倣技術・システムの実用化に向けた選定及び調査
  2. 持続可能な社会に向けて社会システム、ライフスタイルの変革に係わる検討
  3. 他の施策との連携による検討
  4. ワークショップの開催

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2)「自然史財の総合的研究について」
北大名誉教授 馬渡駿介氏
文化財と自然史標本では公的位置づけにおける差が大きい。東日本大震災で被災した文化財に対して公的修復活動は行われたが、自然史標本には公的保護がないのが現実。文化財に準じて自然史標本(社会の財産)にも公的保護制度を適用することが重要ではないかという説明があった。そのためには文化財保護法の改訂、システム整備が重要であり、場合によっては、自然史保護法の制定も重要であるとの指摘があった。

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3)「コラム 最近の自然史展示あれこれ」
北海道開拓記念館副館長 出利葉浩司氏
博物館のできること(資料収集の技術、成果の普及)の中で、展示のあり方に焦点を絞った講演があった(オックスフォード大学のピット・リバース博物館他を例にして)。北米の博物館ではジオラマを使った展示が主で、特に背景(写真ではなく絵画)を工夫しているとの説明があった。

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4)「バイオミメティクス市民セミナー 北大博物館の取り組みについて」
北大総合博物館教授 大原昌宏氏
北大総合博物館の活動として、バイオミメティクス市民セミナー(これまでに39回実施、参加者は毎回約60名)を3年間行ってきた。セミナーを通して、市民にどのようにして「バイオミメティクス」を認知してもらえるよう務めてきたか、その手法と試みについての説明があった。

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5)「ナノスーツ法:自然史学を変える電子顕微鏡観察法」
浜松医科大学教授 針山孝彦氏
ナノスーツ法開発のルーツとその利点について、実際の生物の観察事例とあわせて分かりやすく解説して頂いた。また、ナノスーツ法の医学応用だけでなく、工学応用についても紹介があった。

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6)「千歳におけるものづくり:ナノテクノロジープラットフォームとPWC」
千歳科学技術大学教授 カートハウス・オラフ氏
千歳科学技術大学内の生物模倣関係の研究クラスター、北海道バイオ・材料イノベーションについて紹介があった。具体的な研究事例として、海藻から抽出された抗腫瘍活性物質、ケイ酸・炭酸混合物の結晶合成、ビールのコクの定量化(センサー開発)などの紹介があった。

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7)パネルディスクカッション「ネーチャーアイランド北海道におけるもの作りと博物館の役割」
(モデラー 高分子学会事務局長 平坂雅男氏)
最後に、「ネーチャーアイランド北海道におけるもの作りと博物館の役割」
と題したパネルディスクカッションが行われた。

  • 博物館からの情報発信が理想的だが、現状では限られた発信しかできない。博物館のプレットフォームを利用したい人間にもっとアピールしていくべきだ。
  • 持続可能性社会を目指すことから始める。今の社会は、環境破壊に向かっているので現状ではNG。そのアイディアこそ博物館にあると思う。
  • 自然史標本の重要性を考えれば、環境省が博物館を持てばいいのではないか?等々。

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パネルディスカッションの様子

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