平成26年度の公募研究

山口 哲生

研究概要

ヤモリ手足は,易接着・易剥離や負の垂直荷重下でのすべり運動の持続など,優れた力学的機能を有しており
,その構造を模した高機能粘着剤の開発が進められている.しかしながら,材料力学的な考察が絶対的に不足し
ている.本研究では,(1)曲がり梁構造を有するヤモリ模擬粘着剤の開発および剥離・摩擦機構の実証,(2)ヤモ
リ手足を超える新たな設計概念の提案および高性能粘着・摩擦材料の開発,(3)理論モデル・設計支援ツールの
開発と公開・配布という3つの研究課題を通して,ヤモリ模擬構造への材料力学的アプローチを試みる.より具
体的には,理論解析の結果からその有効性が強く示唆されている,曲がり梁構造の実現を目指すほか,剥離・摩
擦試験にその場観察手法を適用することにより,微細構造の動的過程の解明に取り組む.さらにこれらの知見を
生かし,ヤモリ手足構造を超える高機能な表面構造を創造する。

26年度の実施計画

本年度は,まず単一のスパチュラ模擬構造について,材料物性・構造の同時最適化という点から実験的・理論的に検討を行なう.次に,ミクロ配列構造の作成に挑戦するが,単にミクロ構造を実現するだけでなく,最適な物性や形状をもった配列構造を作成することが重要である.また,実験による評価がある程度行なわれた段階で,理論モデルの作成に着手する.さらに,理論モデル構築の過程で,模擬構造の抽象化について検討し,易接着・易剥離を可能とする構造にどのくらいの普遍性があるのか,実験的・理論的にアプローチする.さらに,一通り実験データが揃ったところで,形状や物性を入力し,接着・剥離過程を出力とする簡易的なシミュレータを開発する.

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