植木 龍也
研究概要
海産動物ホヤ類はセルロースを主成分とする被嚢で体の表面を保護している。同じ主成分をもつ一つながりの
被嚢が接着と付着防止という二面的性質を兼ね備えている。
本研究では付着のしやすさとバナジウム濃度との2つのパラメーターから代表的な4種のホヤを選び、それら
の被嚢の性質を網羅的に比較解析し、接着物質・付着防止物質の単離同定、機能解析を行う。
海水中で固着生活を送る動物の接着性と付着防止の二面性に着目した本研究は独創性と新規性が高く、新規接
着物質(構造)および新規防汚染物質(構造)の開発につながる研究成果が得られると信ずる。
26年度の実施計画
本研究では4種のホヤを対象として、被嚢の構造解析と生化学的解析を行い、それらの相互比較から接着物質・付着防止物質の単離・同定と機能解析を進め、外部刺激による脱着も加味した物質・構造模倣を目指した研究を実施する。
平成26年度は、初年度に得られた基礎データに基づき、4種のホヤに特徴的な接着物質・付着防止物質の単離・同定を行う。外部刺激による脱着についても、因子の探索が可能と判断した場合には、同様に探索する。
遺伝子として導入できる接着物質・付着防止物質が見つかった場合、その遺伝子を接着と付着防止について性質の異なるホヤに導入して機能を確認する。
特定された接着・付着防止を担う構造について、可能であれば計画班との連携でそれらを模倣した構造を作る。接着および付着防止の性質を有するか否かを検証する。