平成27年度の公募研究

森本 元

研究概要

鳥類は生物の中で、多様な色彩を有する生物群の一つである。鳥の最大の特徴は、羽毛という他の生物が持たない独自の構造物で全身が覆われていることであり、これは同時に、鳥の色とは羽毛の色と同義である。本研究は、鳥類を材料として、『構造色』の研究を行う。鳥類の発色は色素由来の色と構造色に大別できる。そして鳥の構造色は、羽毛のユニークな内部構造に由来して発色していることが知られている。本研究は、鳥類型の構造色の中でも、非虹色の構造色に着目し、その発色の源である羽毛内の要因を、色が異なる複数種について調査し、構造色の理論的基盤の背景となる羽毛内部の微細構造を解明し、その一般性と構造のバリエーションについての情報をカタログ的に充実させる。さらにそれらの統一的な理解を目指す。これは「羽色に影響する羽毛内の微細構造の変化」と「それに伴う色の変化」の関係性を明らかにする研究であり、鳥類における構造色の発色メカニズムの解明を目的とした研究である。

27年度の実施計画

前述した目的を達成するために、本年度(研究1年目)は、野外での野生鳥類捕獲による羽毛サンプルの収集と、羽毛に適した分光測定手法の確立、特定の種における羽毛内部構造の解明に重点を置く。

今年度は、1) 構造色を持ついくつかの鳥種について、その繁殖羽を中心的な材料として、主に野外の野生個体から羽毛を収集する。2) 採集した材料種の羽毛サンプルを用いて、羽毛内部の微細構造の構成パターンを走査型電子顕微鏡による観察と撮影画像を用いた計測から羽毛内部構造の把握する。加えて、顕微分光手法の確立を試み、分光測定によって発色を量的に評価する。3) 材料種について種内での羽毛微細構造の差異のパターンを把握し、発色の変化と構造の関連性を検討する。

得られた結果を基にして、羽毛内微細構造と色の変化を説明する、特定の種に特化した統計モデル構築を試みることを通じて、羽毛内に観察される代表的な内部構造物の発色における役割と機能を評価する。

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