平成28年度 公募研究

桑折 道済

研究概要

鳥や昆虫等に見られる構造に起因する色「構造色」は,毒性を示す色素や顔料が不要で色褪せがない。申請者は近年,クジャクの羽の構造発色の源となるメラニン顆粒を模倣したポリドーパミンを原料とする人工高分子微粒子の合成に成功した。作製した吸収のある黒色粒子のみを素材とすることで,鮮やかで,かつ角度依存性のない単色構造色の発現に成功した。

本研究では,生物素材・プロセスに学んだ新素材であるポリドーパミンを基盤とする高分子微粒子を用いて,自然界での単色構造色の発色機構の解明,ならびに「艶感の制御を伴う単色構造色材料」という新材料の開発を通して新たな生物規範技術を確立する。粒子配列と角度依存性の関係や,黒色粒子の吸収が構造色彩度に与える影響等の学術的に重要な知見を得るとともに,実用化に向けた量産技術を確立し,生物規範工学の体系化と技術革新に貢献する。

28年度の実施計画

平成28年度は、ポリドーパミンを基盤とする高分子微粒子の大量合成法を確立し、多彩な発色の構造色材料の開発と,粒子配列制御による発色への影響の相関性を抽出する。

(1)虹色並びに非虹色である単色構造色の発現機構解明のため、平成27年度に得た知見をもとに、黒色度を制御した粒子の大量合成法を確立する。

(2)微細領域での粒子配列を厳密に制御した材料を作製し、絶対反射スペクトル測定で詳細に解析し粒子配列が構造色の発現に与える影響を調査する。

(3)我々のオリジナル材料である黒色粒子を基盤とし、領域内での共同研究等により、自然界における鳥類などのアモルファス系単色構造色との関連性の抽出と計算科学的アプローチによる発色モデルの構築を行う。

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