平成28年度 公募研究

香坂 玲

研究概要

近年、マイクロ/ナノレベルでのバイオミメティクス(生物模倣技術)の研究開発が進められている。このようなレベルの技術は社会の発展にとって重要であるが、例えば、一般のユーザーが意識することは少なく研究開発側とのギャップがまだ大きい。このようなギャップは社会実装を進める上で障害となる。そこで、このギャップを埋め社会実装を円滑に進めるために、バイオミメティクスの展開に伴う社会関与を分析する。具体的には、以下の四課題に取り組み、技術普及のプロセスと課題を明らかにする。

(1) 社会に科学的な概念と機能をどう伝え広く普及させるのか?(普及)
(2) ユーザーへの新たな技術の価値・リスクの提示法と経済的評価法(経済評価)
(3) 実装に向けエンジニア-科学者を領域内でどう再架橋するか?(再架橋)
(4) ISO 等の企業・行政による規格・標準化の効果を評価しどのように策定するか?(規格化)

28年度の実施計画

生物模倣技術の社会実装の研究開発から製品開発に至るプロセスの現状分析として、初年度に実施した技術の社会実装に関する指標(特許出願件数、論文発表件数等)の分析結果および分析に用いた特許技術を精査し、特許技術において応用されている生物模倣技術の抽出手法を特定し、開発されている製品の動向について考察する。

生物模倣技術を活用した技術・製品の開発を行ううえで、技術者が参照する生物模倣技術データベースに関して、既存の特許技術との関連を探り、企業等の技術者が必要とするデータベースの有り方についてヒアリング等を通じて明らかにする。
様々なメディアにおいて発信されている生物模倣技術について、その内容のトレンドを分析すべく、主に新聞記事に着目してデータベースの構築を行い、そのトレンドに関してテキストマイニングの手法を応用して考察し、論文発表や特許出願におけるトレンドと比較することを通じて、技術の開発からユーザーへの発信に至るプロセスにおける関係者の意識のギャップを解明する。

特許および規格化の国際的な動向に関して、網羅的なレビューおよび海外の共同研究者を通じた調査を実施し、今後の特許技術開発と規格化の将来的な方向性について明らかにする。

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