平成28年度 公募研究

高久 康春

研究概要

本研究では、これまでに、昆虫を中心に種々の生物を、高真空環境を必要とする電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)内での動的観察に成功し、世界中の科学者が日常的に行っている固定・乾燥法の映像とは似て非なる構造を観察している。本技術は、ナノ薄膜を生物全体に覆い、体内のガスと液体成分の漏出を防ぐものであり、現在では生物個体だけでなく、組織や細胞まで観察できるようになった。この技術を用いて、各種昆虫表面のサブセルラー・サイズの解析を行い、データを蓄積し、また原核生物界、原生生物界、植物界、菌類界、動物界にまで広げ、すべての生物界に含まれる生物の生きたままの観察を可能にする。昆虫の動的観察法を拡大し、生物と生物、生物と基質との相互作用を観察できるようにして、バイオミメティクスが必要とするサブセルラー・サイズの生きたままの構造解析と相互関係を動的解析することを目的とする。

28年度の実施計画

本研究では、前述した目的を達成するために、本技術を用いて、各種昆虫表面のサブセルラー・サイズの解析を行い、データを蓄積する。現在までに、昆虫10目28種の観察に成功しているが、研究期間内に観察対象を昆虫15目50種に拡大し、また原核生物界、原生生物界、植物界、菌類界、動物界にまで広げ、すべての生物界に含まれる生物の生きたままの観察を可能にする。

得られた結果を基にして、昆虫の動的観察法を拡大し、生物と生物、生物と基質との相互作用を観察できるようにする。SEM内で生物と基質をマニュピュレーションできるように機器を改造し、生物と基質と相互関係を明確にする。

さらに、生体の発生過程の追跡を可能にし、クチクラなどの生物の自己組織化現象を形態学的に明らかにする。

また、バイオミメティクス研究において、細胞や組織がもつサブセルラー・サイズの観察も重要な部分であり、これらの細胞と基材の観察を可能にし、得られた結果を取りまとめ学会発表を行う。

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